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30 January 2025

ノロウイルスの理解:冬の流行期に安全を守る方法

Dr. Doran Fink
Clinical Therapeutic Area Head, Gastrointestinal and Bacterial Pathogens
Japan > Media Center > Blogs > Understanding Norovirus: Staying Safe Amid Winter Surge

ノロウイルスは「冬の胃腸風邪」として知られ、特に寒い季節に猛威を振るう目に見えない脅威です。2024年12月時点で、米国ではノロウイルスの発生件数が懸念されるほど増加しており、この時期としては2012年以来最高レベルに達しています¹。ノロウイルスがどのように拡散し進化するのかを理解することは、その負担を知り、mRNA技術が対策においてどのように役立つ可能性があるかを考える上で重要です。

ノロウイルスの負担

  • ノロウイルスは世界中で急性胃腸炎の主な原因となり、深刻な健康被害や経済的損失を引き起こしています。

  • 世界的な影響:ノロウイルスは年間6億8500万件の感染を引き起こし、そのうち2億件は5歳未満の子どもが占めています。また、主に低所得国で5万人の子どもの死亡原因となっています²。

  • 米国の統計:米国では毎年、ノロウイルスが10万9000件の入院、46万5000件の救急外来訪問、900件の死亡を引き起こしており、その大部分が65歳以上の高齢者に集中しています³

  • 経済的損失:ノロウイルスによる米国の年間コストは医療費や生産性の低下を含めて20億ドルに達し、世界全体では600億ドルを超えます⁴。

ノロウイルスは年齢を問わず誰にでも影響を及ぼしますが、特に乳幼児、高齢者、免疫力の低下した人々が重症化リスクに直面します⁵。

ノロウイルスが厄介な理由

このウイルスは非常に感染力が強く、汚染された食品や水、汚染された表面への接触、または感染者との密接な接触を通じて広がります。さらに、多様なノロウイルス遺伝子型の存在と、自然感染による生涯免疫の欠如により、一生のうちに複数回感染する可能性があります⁶,⁷。現在、ノロウイルスに対する承認されたワクチンは存在しないため、以下のような安全対策を講じることが重要です⁸。

  1. 衛生を徹底する

  2. 食事前やトイレの後には石鹸と水で手を十分に洗いましょう。

  3. アルコール消毒剤は補助的に使用してください(石鹸と水の方が効果的です)。

  4. 食品を安全に扱う

  5. 野菜や果物をしっかり洗う。

  6. 魚介類は適切な温度で加熱調理する。

  7. 体調が悪いときや病気から回復中は食品の調理を避ける。

  8. 清掃と消毒

  9. よく触れる表面を定期的に塩素系漂白剤で消毒する。

  10. 汚染された衣類は手袋を使用し、すぐに高温で洗う。

  11. 体調不良時は外出を控える

  12. ノロウイルスは症状が治まった後も数日間感染力を持つため、回復後48時間は自宅で静養しましょう。

mRNA技術の可能性
mRNA技術は、ノロウイルス対策のツールとなる可能性を秘めています。その理由として、以下の点が挙げられます。

ノロウイルスには多様な遺伝子型が存在し、流行する型が毎年変化します⁹。このため、ワクチン開発はこれまで困難を伴ってきました。流行するノロウイルス遺伝子型の70~80%以上をカバーするためには、多価ワクチン設計が必要です。この点で、適応性が高く、汎用性の高いmRNA技術は重要なツールとなる可能性があります¹⁰。

現在、ノロウイルスに対する承認済みのワクチンは存在しませんが、公共衛生に大きな負担をもたらすこのウイルスに対し、モデルナはmRNAの可能性を最大限に追求するミッションを果たしたいと考えています。モデルナのノロウイルスワクチンパイプラインには2つのワクチン候補が含まれており、そのうち1つは現在第3相試験に進んでいます11。

References
¹https://www.cdc.gov/norovirus/php/reporting/norostat-data.html
²https://www.cdc.gov/norovirus/data-research/index.html#:~:text=Norovirus%20worldwide&text=Worldwide%2C%20norovirus%20annually%20causes%20on,deaths%2C%20mostly%20in%20developing%20countries
³https://www.cdc.gov/norovirus/data-research/index.html#:~:text=Norovirus%20worldwide&text=Worldwide%2C%20norovirus%20annually%20causes%20on,deaths%2C%20mostly%20in%20developing%20countries
⁴https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8171800/
⁵https://www.cdc.gov/norovirus/about/index.html#:~:text=Who%20is%20at%20risk,eat%20raw%20or%20undercooked%20shellfish.
⁶Chhabra P, de Graaf M, Parra GI, Chan MC, Green K, Martella V, et al. Updated classification of norovirus genogroups and genotypes. J Gen Virol. 2019; 100(10):1393-406.
⁷Simmons K, Gambhir M, Leon J & Lopman B. Duration of immunity to norovirus gastroenteritis. Emerging Infectious Diseases. 2013; 19(8):1260-7.
⁸https://www.cdc.gov/norovirus/about/index.html#:~:text=You%20can%20get%20norovirus%20illness,exactly%20how%20long%20protection%20lasts.
⁹Carlson KB, Mahood D, Nunna N, Viscidi E, Bollman BA, Arunkumar GA, et al. Global prevalence of norovirus genotypes across two decades of acute gastroenteritis cases. ID Week 2024. Poster number 1827570.
¹⁰NoV, norovirus; VP1, major capsid protein; Cannon et al Emerging Infect. Dis. 2021; Calderwood et al. Clin Infect Dis 2022; Carlson KB et al npj Vaccines 2024
11モデルナ社内資料

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