モデルナと国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構、日本で潜在性ウイルスの抗体保有率などを把握する共同研究を開始
2024年4月11日
報道関係者各位
Moderna Inc.(以下、「モデルナ」)の日本法人モデルナ・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:長山和正、以下、「モデルナ・ジャパン」)は本日、モデルナと国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(宮城県仙台市、機構長:山本雅之、以下、「ToMMo」)が、2つの一般的な潜在性ウイルス*であるサイトメガロウイルス(CMV)** およびエプスタインバーウイルス(EBV)***
の感染疫学を明らかにする共同研究を開始したことをお知らせいたします。この共同研究を通じて、モデルナとToMMoは、潜在性ウイルスの抗体保有率や妊娠期、出産時から小児期までの健康状況への理解に大きく貢献し、将来の日本におけるワクチン接種プログラム作成に重要な知見を提供いたします。
この共同研究では、日本におけるCMVおよびEBVの抗体保有率を調査します。抗体保有率とは、ある集団における特定の病原体に対する抗体を持っている人の割合で、血液検査でわかります。これまでのところ、日本人におけるCMVとEBVの抗体保有率のデータは特定の集団や特殊な集団に限られており、一般に広く適用することが困難です1,2。日本における生活、衛生環境の変化によってCMVおよびEBVに感染する時期が遅れているか調査を行います。CMVでは感染が幼少期から妊娠・出産時期に移行していくと、胎児に先天性異常をきたす可能性があるため、CMVと妊娠期から小児期までの健康状況の関連も調査します。これらの研究を通じて潜在性ウイルスに関する理解を深めることは、これらのウイルスとさまざまな疾患との関連、より広範な公衆衛生への貢献、疾病の健康への影響を評価するうえで重要です。
この共同研究では、東日本大震災を契機に2013年から開始され、現在も継続しているToMMoの集団ベースの前向きコホート研究の一環として収集された保存検体を活用します。ToMMoは、日本で初めて設立された大規模な一般住民集団ベースのバイオバンクであり、国民の健康と福祉の支援、および個別化ヘルスケアの実現を目的としています。
*潜在性ウイルスについて
感染後に活発なウイルス複製を起こさずに、感染状態を維持しているウイルスのことを指します。特定の条件、例えば免疫力が低下したときに活発なウイルス複製を起こし、そのウイルス独自の感染症症状を呈します。
**サイトメガロウイルス(CMV)について
CMVは潜在性ウイルスで、初回感染時はその症状から風邪と区別がつかない症状を呈し、多くの人が人生の中で一度は感染しているといわれています。妊婦がCMVに感染すると母子感染し、CMVが胎児に合併症を引き起こす可能性があります3。先天性CMVは、約200人に1人の赤ちゃんが感染すると推定されて、ダウン症、胎児性アルコール症候群、二分脊椎症よりもその数は多いと言われています。CMVに感染して生まれた赤ちゃんの5人に1人は、視力障害、難聴、筋力や協調性の低下など、場合によっては生命を左右する深刻な健康上の問題を抱えることがあります4,5。
***エプスタインバーウイルス(EBV)について
CMVと同様に、EBVも一般的な潜在性ウイルスです。EBVは体液(唾液など)を介して感染し、通常、幼児期または青年期に感染します。幼児期のEBV感染は風邪様症状を呈し、青年期に初回感染すると、発熱、疲労、咽頭痛、リンパ節腫脹などを伴う伝染性単核球症(IM)を発症することがあります。IMは4~6週間にわたり症状が続き患者を衰弱させ、時には肝障害、脾臓破裂、気道閉塞などの合併症を引き起こし、入院を必要とすることもあります。EBVは潜在性ウイルスであるため、感染後も生涯体内に留まり、生涯にわたって病状を引き起こす可能性があります。EBVは、多発性硬化症の発症リスク、関連するリンパ増殖性疾患、がん、自己免疫疾患の発症リスクを上げるとの報告もあります6。
References:
1. Pathol Int. 2006 Mar;56(3):112-6. doi: 10.1111/j.1440-1827.2006.01936.x.
2. J Clin Virol. 2014 Mar;59(3):192-4. doi: 10.1016/j.jcv.2013.12.013. Epub 2014 Jan 8.
3. https://www cdc gov/cmv/clinical/overview html
4. https://www cdc gov/cmv/congenital-infection html
5. Curr Treat Options Neurol 2008 May; 10(3): 186-192. doi: 10.1007/s11940-008-0020-2
6. Science. 2022 Jan 21;375(6578):296-301. doi: 10.1126/science.abj8222.
モデルナについて
モデルナは、mRNA医薬品分野における革新的リーダーです。mRNA技術の進展を通して、モデルナは医薬品の製造方法を根本から変え、疾患の治療と予防へのアプローチを変革し続けています。モデルナは10年以上にわたって科学、技術、健康分野の研究に取り組んでおり、前例のないスピードと効率性で医薬品を開発しています。新型コロナワクチンの開発はその代表例です。
モデルナのmRNAプラットフォームは、感染症、免疫腫瘍学、希少疾患、自己免疫疾患の治療薬やワクチンの開発を可能にしています。独自の企業文化と価値観、マインドセットを共有する世界の社員が力を合わせ、人々の健康に貢献するため、そしてmRNA医薬品を通じて、人々に最大限のインパクトをもたらすべく尽力しています。モデルナの詳細については、modernatx.comをご覧ください。また、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedInをフォローしてください。
ToMMoについて
ToMMoは東⽇本⼤震災からの復興と、個別化予防・医療の実現を⽬指し2012年に設⽴されました。岩⼿医科⼤学いわて東北メディカル・メガバンク機構とともに、東北メディカル・メガバンク計画を推進しています。東北メディカル・メガバンク計画は、2013年より合計15万⼈規模の地域住⺠コホート調査および三世代コホート調査等を実施して、試料・情報を収集したバイオバンクを整備しています。さらにバイオバンクの試料・情報を産学問わず利活⽤できるよう、仕組みの整備、データベースの構築などを⾏っています。本計画については、2015 年度より、国⽴研究開発法⼈⽇本医療研究開発機構(AMED)が研究⽀援担当機関の役割を果たしています。さらなる詳細は、https://www.megabank.tohoku.ac.jp/ をご覧ください。
将来予測に関する表明
本プレスリリースには、改正された1995年度米国民事証券訴訟改革法の意味の範囲内における将来予測に関する記述が含まれています。これには、日本における2つの一般的な潜伏ウイルス感染症、サイトメガロウイルスとエプスタイン・バーウイルスの感染疫学を明らかにするための東北大学東北メディカル・メガバンク機構との共同研究の開始が含まれています。場合によっては、「予定」、「可能性がある」、「はずである」、「可能性がある」、「期待する」、「意図する」、「計画する」、「目指す」、「予測する」、「確信する」、「推定する」、「予測する」、「可能性」、「継続する」、またはこれらの用語の否定形、あるいはその他の類似の用語によって、将来予測に関する記述を特定することができますが、すべての将来予測しに関する記述がこれらの用語を含むわけではありません。本プレスリリース中の将来予測に関する表明は約束と保証のいずれでもなく、それらには既知および未知のリスク、不確実性、およびその他の要因が関わり、その多くはモデルナの統制の範囲外にあり、かつ実際の結果を将来予測に関する表明に表現されている、あるいはそれから黙示的に示されるものから大きく異なる可能性があるため、これらの将来予測に関する表明に対して過度に依存しないようお願いいたします。これらのリスク、不確実性、およびその他の要因には、米国証券取引委員会(SEC)のウェブサイト(www.sec.gov)から入手可能な、モデルナが SEC に提出した 2023 年 12 月 31 日を期末とする年度のフォーム 10-K 年次報告書およびそれ以降に SEC に提出した書類の「Risk Factors」欄に記載されたリスクと不確実性が含まれています。法によって求められる場合を除き、モデルナは本プレスリリースに含まれるいずれの将来予測に関する表明についても、新たな情報、将来的な展開、あるいはその他のいずれを理由とするかを問わず、更新または改訂する意図または責任を持ちません。これらの将来予測に関する表明はモデルナの現時点での予測に基づくものであり、本プレスリリースの日付においてのみ有効です。